東京都美術館「上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす 菌類、植物、動物、人間より」
12月16日、東京都美術館アートプロジェクトへ当日引率をしてまいりました。子どもと親御さん総勢20人で池袋から上野へ、とにかく最高に楽しい一日でした。ボランティアとしても学び多き1日でした。
実は大っ変失礼ながら、美術館で1人に1名大人がついてくださると聞いて、「美術館のボランティアさんか~お話が長そうで子どもたち途中で逃げちゃったらどうしよう」(本当に失礼)と思ってました。大・反・省!実際の子どもたちは、アート・コミュニケータ(通称:とびラーさん)と過ごすほどに、どんどんキラキラしていきました。驚くほどの変化でした。
美術館に到着すると、まずはワークショップ。親と子が別々のグループにわかれてドキドキと着席。美術館自体がはじめての子もいます。ここがどんな場所で、今日はどんな人がいて、どんなことをなぜしようとしているのか。とてもていねいに話してくださるのでどんどん安心していきます。手話通訳もあり、手話にも全員が慣れていきます。とびラーさん(都美術の「とび」からついた愛称)たちと、自己紹介もかねて好きな絵を選び、なぜ好きなのかを紹介。行きの電車では静かだった子も、嬉しそうに聞き、嬉しそうに話し始めます!
※とびラーさんはとびらプロジェクト(https://tobira-project.info/about/#concept)に所属し、アートを介して誰もがフラットに参加できる対話の場をデザインし、様々な価値観を持つ多様な人々を結びつけるコミュニティのデザインに取り組んでいます。360人の応募から選ばれし40名のアート・コミュニケータさん(倍率9倍!)です。そして上野にある9つの美術館・博物館を子どもたち(6~18才)が楽しめる「Museum Start あいうえの」(https://museum-start.jp/)という充実のプログラムがあります。私は東京で子育てできることを幸運なことだと思いました・・。
いざ、美術鑑賞!今回は「上野アーティストプロジェクト2023いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」という展示で、動物や植物の絵や立体、写真などが展示されています。触れたり鳴き声を聞けたりとっても面白い。とびラーさんは目を合わせて、子どもの話を引き出して関心を寄せてくれます。「綺麗な色!」「見たことある!」「これキライ」「前に遠足にいったとき・・」と、子どもから出てくる<経験>や<感覚>を受け止めて、それを<作品と接続>してくれる。だから、子どもたちはそれぞれの作品の前でまたキラキラと輝きはじめました。冒頭の私の懸念とは真逆に、どの子も時間が足りなくて全然帰らないくらいでした。
当日頂いたミュージアム・スタート・ガイドブックにも書いてあったのです。『大人が「教える立場」にはならず、こどもと一緒に冒険する気持ちになる』『一緒に展示物をよく観察して言葉にする』。まさにこの姿勢で一緒に楽しんで過ごしてくださいました。見たこともないような大きな絵や、感じたことのない感覚、美術館という空間自体はもちろん、本当に素晴らしいたくさんの大人たちと出会えたことも、子どもたちにとって貴重な財産だったと思います。私も尊敬(と深い反省)で胸がいっぱいになりました。
最後はお楽しみのランチタイム!自然と男子テーブル、女子テーブルに別れていって、それぞれ大盛り上がり!言葉(日本語・ネパール語・英語・手話)の違いも超えて大笑い!どの小学校?どんな食べ物が好き?急にはじまるじゃんけんや“あっちむいてほい”など、どのテーブルも笑顔いっぱいおなかいっぱいでした。
バックグラウンド(年齢、国籍、障がい、性別、学校、家庭など)もさまざまな子ども達が、こんなに短時間でひとつになり、しかも、ひとりひとりが輝くことができるんだ、と、感慨深い思いでした。WAKUWAKUの子どもたちって可愛いな~~と改めて思いました。また、保護者で一緒にきてくれたお母さまたちが、自然と他の子をかわるがわる見てくださいました。あたたかい気持ちになりましたし、楽しかったですし、引率が至らない部分もとても救われました。
みんなを安全に引率できるかドキドキでしたが、朝から帰りまでずーっとWAKUWAKUいっぱいの最高の一日でした。壮大なプロジェクトで大変なご準備だったかと思いますが、参加させてくださり本当にありがとうございました!(松井芙美子)