おせっかえる、はばたけ!~社会人になった井上君(仮名)インタビュー~②

WAKWAKUでサポートしていた井上君と再会したのは、2025年4月27日の日曜日。
初任給をもらったのでと言って、お菓子を届けてくれた井上君に、インタビューさせていただきました。

その時のお話を、数回に分けてお送りします。

第1回 おせっかえる、はばたけ!~社会人になった井上君(仮名)インタビュー~①
第2回 おせっかえる、はばたけ!~社会人になった井上君(仮名)インタビュー~②(この記事です)

栗林:大学受験では、東大を目指してたんだよね。

井上:そうですね。「東大を目指していれば、どこかの併願校に受かるだろう」という安直な考えからでした。母としては全額免除される国立に行ってほしかったと思います。ただ、ちょうどその頃から東京都の私立大学も学費が減免されるという話を聞き、私立でも僕がアルバイトをすれば払えるって試算が立ったので、何校か出願しました。

栗:今の大学受験って受験代も高いんだよね。

井:本当に高いです、本当に。僕のときは1校につき3万5千円くらいかかりました。

栗:東大以外にいくつ受けたの?

井:早稲田で2つの学部、慶応で1つです。

栗:井上くんなら、本当はもっとたくさん受けることもできたと思うけれど。

井:そうかもしれないですが、でも「本当に行きたいところだけに絞ろう」と決めていました。

栗:じゃあ、進学した早稲田大学は本当に行きたかった大学なんだね。

井:はい。第二志望だったので、何も後悔はありません。

栗:受験当時、お母さんに「学費のサポートの制度を紹介しましょうか」とお話したら、すでに自力で企業の奨学金を申請したと聞きました。

井:そうです。4年間大変お世話になりました。

栗:大学の奨学金も利用できたのかな?

井:大学の方は、たしか併給ができなかったと記憶しています。ただ、JASSO(日本学生支援機構)からは給付型で毎月3〜4万円ほど支援をいただけました。

栗:企業の奨学金というのは、どういう仕組みなの?

井:東京都の場合、公立高校から各校1名が選抜される枠がありました。

栗:かなりの倍率だったんじゃない?

井:それなりにいたと思います。僕の家庭の所得が低いことを知っていた高校の先生が気を遣ってくれて、早めに案内をくださったんです。

栗:先生も気にかけてくれていたんだね。奨学金の決定は3月くらい?

井:そうです。高3の受験前に書類を出しましたが、採用には「指定の大学への合格」が条件でした。受からなければ支援もなしという状況だったので、必死でした。

栗:そうなんだね。お母さんその奨学金が決まったことで本当に安心されたと思う。

井:本当に皆様のおかげです。入学後はアルバイトも始め、金銭面ではだいぶ楽になれました。でも高校までは、都立で授業料は免除されていても、教科書代などの出費や「本当に大学へ行けるのか」という不安で、ずっとストレスを感じていた気がします。

栗:お母さんに対して迷惑かけちゃいけないなとか、そういう思いもあったのかな。

井:それはありましたね。高校のときは、我慢していたかもしれないですね。でも、勉強とか部活動とか基本的にはやりたいことはできてたんです。高校の制服や体操服に指定がなかったので、買わなければいけない物は教科書くらいでした。なので収入が少なくててもなんとかなりました。

栗:周囲の家庭と環境が違うなかでも、井上くんはぶれずに自分を保っていたんだね。

井:母の影響が大きいと思います。母は中国から来たという背景もあり、「うちはうち他人は他人。嫉妬する必要もないし羨む必要もないから、自分のペースで楽しいと思うことをやりなさい」って言い聞かされてきました。僕自身も、裕福な家庭を羨むことはなかったですし、そのままの自分を受け入れてくれる友達もできました。

栗:小さいうちからご両親がしっかり大事なことを伝えてくれていたんだね。これからも、そうやって気が合う人たちといっぱい出会ってほしいなって思う。

井:高校の頃は、奨学金もらうことに少し抵抗を感じたりもしました。でも大学以降は、自分が他人からどう思われてるかはあまり気にならなくなりました。

 ― 第3回につづく ―