Aさんは中国籍のシングルマザー、高校生のお子さんと二人暮らし。コロナで姉と経営していた飲食店を閉め、もっと家賃の安いところに引っ越したいと考えていました。失業・外国籍・ひとり親という条件に、不動産屋さんの対応もあまり・・・。

コロナで姉と経営していた飲食店を閉めることに

WAKUWAKU(以下W):
はじめまして。今日はよろしくお願いします。
家を急いで探さなければいけなくなったと聞きましたが、いつ頃、どうしてそうなってしまったのですか?

Aさん:
2014年からお姉さんと飲食店をやっていました。6年間本当によく頑張りました。お姉さんが経営者で、私は従業員として働くという形でした。家と職場が近い方が子どもの面倒も見やすいので、お姉さんと一緒に要町に3LDKの家を借りました。それぞれの子どもが娘と息子なので、部屋が3つは欲しいとなり大きい家を借りました。お姉さんの中国にいる子どもの呼び寄せが急だったのと、息子が通っている学校からあまり遠くにしたくないなどいろいろあって、18万円したけどそこに決めました。お姉さんと家賃半分ずつの負担だったので、お店をやっている時は大丈夫でした。
でもコロナになって、店を閉めることになりました。
それと、そのころ子ども同士、中国で育ったお姉さんの娘と、ずっと日本で育ったうちの息子が育った環境、習慣の違いや異性ということもあって合わないことが多く、揉め事も増えていました。それで別に住むことになったのですが、私は従業員だったので私の名前では簡単に借りることはできないのです。保証がおりないのです。なので、まずお姉さんが別の家を探して出ていくことになりました。

失業、外国人、シングルマザーという条件の部屋探し

W:
仕事がなくなったうえに、急に家を探すことになってそれはすごく大変でしたね。

Aさん:
そうです。私も探し始めましたけど、私だとシングルで外国人で求職中なので、不動産屋で紹介してくれるのはすごく古い、お風呂もないようなアパートだけでした。コロナで気持ちがダウンしている時にそういう家に引っ越すのは、子どものためにも避けたいと思ってそれは断りました。
でも、気に入った物件はまず外国人ということで8割はダメでした。
また、仕事は今何をやっていますか?とすごく聞かれて、無職の状態だったのでこれも断られる理由でした。なのでしばらく家探しはやめて、仕事を見つけてからにしようと思いました。

W:
その状況で18万の家賃を払うのは相当な負担だったんじゃないですか?

Aさん:
その頃は失業保険と貯金を崩しながらなんとかやっていました。
子どもが3歳のとき離婚したのですが、子どもが学校に入る前の今しかお金を貯めることはできないと思って、その頃すごく働いて貯金しました。最初は一人で心細かったけど、決めたのだからととにかく深夜も働きました。なので、月曜から金曜まで24時間子どもを保育園に預けて、土日だけは一緒に過ごして。学校に入ってからは最初一緒に付き添ったり、他の日本人のようにきちんとしたかったんです。お父さんがいなくてもちゃんとした暮らしをするために頑張ろうと、子どもが私を強くしてくれました。

W:
計画性と責任感本当にすごいと思います。貯金していて本当によかったですね。

Aさん:
はい、本当にそれがなかったら無理でした。

仕事探しをはじめて、技術を身につけようと職業訓練へ

Aさん:
でも仕事は早く見つけなければならなかったので、ハローワークに行きました。そしたらそこで失業した人のために無料で学校に通えるという案内をみつけて、それに応募して3カ月ネイルの技術を学ぶ学校に通いました。何歳になってもできる仕事だし、技術を身に着けて長く続けられる仕事に就きたかったからです。3カ月頑張ればこの仕事がずっとできるなら、この方がいいと思って。
それで今は池袋でこの仕事をしています。とにかく近くじゃないと子どものことをみてあげられないので、遠くのサロンに決まりそうになったけど、私は池袋で店をやっていたので池袋の方がお客さんを呼ぶことができますと言って、ここにしてもらいました。

W:
常に前向きで、バイタリティーを失わない人ですね。

WAKUWAKUとの出会い

W:
家を探していたのはネイルの学校に通っているころでしたか?

Aさん:
はい、その前に都営住宅の申し込みサポートでWAKUWAKUのすまいサポートと繋がっていたのですが、落選して困ってしまったので、すまいサポートのスタッフさんに相談するようになりました。WAKUWAKUとの最初のつながりは、息子が高校進学するときに「入学応援給付金」という事業で4万円をいただき、パソコンの貸与もしてもらった時です。こういう活動をしている団体があることを初めて知りました。失業中だったので相談したらWAKUWAKUでアルバイトをさせてもらったり、SDGsカフェというシングルママ達によるサロンに参加し、他のママ達とおしゃべりすることで元気をもらいました。

WAKUWAKUすまいサポートとお部屋探し

Aさん:
家探しは全く前に進まなくて、自分だけではどう頑張っても難しいなと思い、力を貸してもらうことにしました。

W:
そうですよね、外国人ということは変えようがないので、相手の意識が変わるしかないことですよね。

Aさん:
「NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」という名刺を出して、一緒に探しているとなると、不動産屋さんもなんだか安心感があるみたいでした。この団体が私を保証しています、という感じで。すぐに何件か見ることができました。

W:
それまでは内見すらできなかったのですか?

Aさん:
いや、だいたい見せてはくれます。不動産屋は家を出したいしじゃないですか。でも、結局オーナーの許可がないとダメで、オーナーは私に会うことはなくて、外国人ということでダメとなってしまうのです。なので、手続きの話になるとスムーズにいかないことが多くて、だったら最初からダメと言われた方がいいなと思いました。

W:
日本人でも困った住み方をする人はいますし、そこは国籍とかではなく、その人その人で判断してほしいところですけどね。

Aさん:
だからWAKUWAKUが一緒に行ってくれてとても助かりました。一人じゃないのはすごく心強かったです。不動産屋さんも団体が私を保証しているという安心感で、対応が早い感じでした。私一人で行ったときは返事が曖昧だったり、後日連絡しますということが多かったけれど、WAKUWAKUという団体が間にいるとなったら、希望すればすぐ手続きできる感じでした。大家さんに不動産屋さんが伝えていたからだと思います。こういう団体が保証しているから安心ですよ、と。

W:
それで今の家をみつけることができたんですね。

Aさん:
まだバイトだけで就職してない時だったので、一人だったら無理でしたね。

念願の引っ越し、そしてネイリストデビュー!

Aさん:
無事、10月に引っ越しました。その家は古くてもリフォームがきちんとしてあって中はきれいだし、まあまあの広さがありました。でも、少し直してほしいところがあって、WAKUWAKUから「それは言っていいんですよ。入る前に言わないとですよ。」とアドバイスもしてもらいました。なので、排水溝が錆びていたので水が流れるか心配だったのと、窓がちゃんと開かないということを伝えました。古い建物なので、うちの窓だけの問題ではなく建物全体を修繕しないといけないらしく、窓については無理でしたが、排水溝はきちんと対応してもらえたので事前に伝えてよかったです。コロナも気になって自転車で通勤、通学できる場所にしたかったし、できるだけ今の場所からあまり離れたくなかったので、だいたい希望の通りの家に引っ越すことができました。
住宅確保給付金を申請して、それを受け取ることができたので大変助かりました。

W:
本当によかったですね。すまいが安定すると気持ちも楽になりますよね。新しいお仕事も順調ですか?

Aさん:
研修を終えて、4月からネイリストとしてデビューしました!嬉しいです!
ここからですけどね、努力しないと。

W:
息子さんも今の家は気に入ってますか?

Aさん:
はい、ボロボロな家に引っ越したりしなくてよかったです。

W:
今日はAさんの常に前向きな話を聞くことができて、私がとても元気をもらうことができました。どうもありがとうございました。

Aさん:
みんないろいろ大変なことありますが、本当に自分の力でできないときは人の力を借りるのも大事だなと思います。WAKUWAKUがすまいサポートをしていて本当によかったです。ありがとうございました。

すまいサポートスタッフから

Aさんから住まいの相談を受けたのは7月の終わり、猛暑の中のお部屋探しでした。
そもそも豊島区に2LDK以上という物件が少なく、あたった不動産屋さんは4件、内見できた物件は7件でした。物件探しから見つかるまで2ヶ月かかりました。
最終的に決めた物件を内見したときは、1時間もそのお部屋であれこれお話ししたことを楽しく思い出します。(不動産屋さんにまだですか?と言われました)
管理会社がひばりヶ丘にあり、契約も一緒にひばりヶ丘まで行きました。Aさんは日本に長くお住まいで、日本語もペラペラですが、管理会社の方の話では、やはり書類上で判断するので、外国人というだけで敬遠されてしまうことがあるとのこと。居住支援法人のサポートは知らなかったが、 とても安心した、と言っていて、その後の修繕などの対応も良くしてくれたようです。

すまいサポートのお手伝い

  • 物件の情報収集の代行
  • 内見同行
  • 不動産屋さんとの交渉
  • 保証会社から契約までの手続きの代行
  • 契約同行